富士宣言☓経済・ビジネス~未来を共創するダイアログ~

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五井平和財団では、本年5月に開催した、各分野の国際的なリーダー50人が集った「『富士宣言』発足記念 東京シンポジウム」に続き、11月30に東京の国連大学で、「富士宣言☓経済・ビジネス~未来を共創するダイアログ~」を、開催しました。

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11人の経済やビジネス分野で活躍する、若きリーダーたちが集うこのダイアログ(対話)には、ファンドレイザーで世界的な社会活動家であり、2015年度の五井平和賞受賞者として来日中のリン・ツイスト氏も出席しました。
ダイアログの目的は、人間の善なる精神性を経済やビジネスの分野で表わしている出席者たちが、互いの価値観・世界観を共有することにより、善なる精神性が開花した社会を創造するための「共創の場」を生み出そうというものでした。

Fuji Declaration Symposium3

ダイアログは、小グループに分かれ、広範囲にわたる課題が、先入観にとらわれることなくトランスパーソナル対話(自分という枠や自我の境界をこえたところで行なう対話)の手法で進められました。
人間の神聖なる精神を信じて生きる者同士の親近感、語られる内容の信憑性、ワンネスの意識がグループの集合智を呼び起こし、解決や行動のアイデアが討議されました。

五井平和財団の西園寺裕夫理事長は、開会の挨拶の中で、我々の日常生活とビジネス・経済を含むすべての活動領域において、富士宣言の原則を採り入れることの重要性を強調しました。

セッション1: ライフ・ストーリーの共有
このセッションでは、参加者がそれぞれどのような形で自らの神聖なる意識に出会ったか、またそれがどのように各自の人生を変えてきたかについて語り合いました。

まずは、リン・ツイスト氏が、神聖なる意識につながることは、人類が持ち得る最も重要かつ、トランスパーソナルな経験であると述べ、その深層のつながりにおいては、すべてが可能であると語りました。
自らの体験については、「世界から飢餓をなくすという目標」に出会ってはじめて、自分の人生の意味を知りたいという、それまであった内なる飢えが終わったことを実感したこと。また、天賦の才に溢れた真のファンドレイザーでもあったマザー・テレサに大きな影響を受け、その結果、過去20年間にわたって世界の飢餓を終わらせるための活動を続け、その間200億円を超える資金を調達することができたと語りました。

更に、自らの神聖なる精神に導かれ、彼女はアマゾンの熱帯雨林で先住民と出会い、やがて彼らから自然界の神性にして強大なる力と再びつながる方法を教えられたこと。そして、ついには社会的な利益を目的とする組織、パチャママ・アライアンスを共同設立した話をしました。この団体は、アマゾンの先住民に手を差し伸べ、彼らの土地と文化を守るとともに、 豊かで持続可能な世界を作るために、世界中の人々を啓発し、教育しています。

最後にツイスト氏は、人間は、経済活動(Economy)が生態系(Ecology)の一部であることを忘れて、生態系を経済に従属させていると指摘しました。そして、この大きな誤ちが、人類とすべての生命を含む大自然との関係に、非常な悪影響を与えており、生態系と経済が本来の関係を取り戻すことが、人類の存続にとって不可欠であると述べました。

続いて参加者たちが、各自のライフ・ストーリーを語り、共有しあいました。

セッション2: 共通課題の認識
第2セッションでは、各自が仕事を通じて出会った問題や壁について共有しました。

ツイスト氏は、最近のパリで起きたテロ事件と今年の難民危機により、イスラム教徒全般に対して広がった偏見と関連している自らの課題について述べました。そして、イスラム教が本来平和な宗教であるのにも関わらず、不幸にも過激派に乗っ取られ、間違った解釈をされ、悪用されてきたものであること。パリで開催されるCOP21(気候良識サミット) は、各国首脳たちにとって、マインドセットと政策を、恐怖心によるものから愛の心によるものへと昇華させる絶好の機会であり、環境的な気候変動と人間の心の空模様が、相互に関係しあっていると話しました。

ツイスト氏の洞察に富んだ話に感銘を受けた参加者は、各自が直面する課題の中に、人類レベルの問題に通ずる手がかりがあるのではないかと議論を昇華させていきました。その結果、それぞれのグループディスカッションは、最終的に以下の問としてまとめられました。

「どうやったら、恐怖や善悪の二元論でつくられた今の世界を、人間が本来持っている命や人間性に立ちかえった新しいシステムに変えられるのだろうか? また、そこまでの道筋をどう描くのか?」

セクション3: アクションのためのアイデア共有
最後のセッションでは、参加者はそれまでに検討された共通課題について、生活や仕事の中で自分はどのように応え行動したいと思うかについて考え、以下のようなアイデアが出されました。

  • 死の恐怖を乗り越えることを助けるプログラム)を開発する。
  • パチャママ・アライアンスの「アウェイクニング・ザ・ドリーマー」プログラム(現代社会の夢からの覚醒を促すプログラム)を広める。
  • 違いより共通点に焦点を当てた文化交流を推進する。
  • 著作者たちを支援するために、新しいビジネスモデルとしてのブックファンドを開発する。
  • 思いやりと信頼を育てる要素を、現在自分が行っているリーダーシッププログラムに導入する。
  • 社会の中で、人と人とのつながりを強化し、隔絶を解消するために、好奇心をもっと奨励する。
  • 人間性にとって必要な話題を政治やビジネスのリーダーの集まりで扱い、信頼ベースのコミュニティを彼らの間に醸成する。
  • 人々が集まり、互いにハートのレベルでつながり、刺激しあえる場をつくる。
  • 顧客の夢や願望の実現を手伝うプロジェクトを自分の会社から発信する。
  • 集合的意識の進化を、自分の開発したコーチングと育児プログラムを通じてサポートする。
  • すべての生命のワンネス(一体性)を科学的に証明すべく、自分の研究を続ける。

Fuji Declaration Symposium2参加者は、これらの行動がいずれも、公正で持続可能な未来の創造に役立つものであることを合意しました。最後に人間性の最も深い部分とつながることが、すべての人間と自然に資する経済を作り上げる第一歩であり、相互支援のためには、同じ考えの人々のコミュニティを育てることが何より重要であることを認めて、セッションを終了しました。

ツイスト氏は最後に、出席者たちがこのダイアログに自ら参加した事を称え、今日、私たちが抱えている世界の課題は巨大で複雑ではあるが、乗り越えられない問題ではないと強調しました。
また、この時代が持つチャンスは、危機よりもずっと大きく、私たちを協働に取り組ませる危機と課題は、私達に進化を促しているので、これは祝福であると述べるとともに、すべての参加者にこのダイアログで生まれた人間関係を今後も大切にし、コミュニティを形成していくよう激励しました。

閉会の挨拶では、五井平和財団の西園寺昌美会長が、次のように述べました。
「このダイアログで行われたディスカッションの素晴らしさは、平和で繁栄する社会をつくるために、私たちの中の神聖なる精神が働いていることの証しです。個を超えて、公のために奉仕することこそ、人生の意味のすべてであり、私たちはみな神聖なる精神であり、人々に神聖を知らせ、与え、寛容であることが私たちの行く道であります。私たちの神聖なる意識には限界がなく、私たちに不可能はありません。私たちが、自己に制限をかけるのか無限に拡大する存在であることを許すかどうかは、私たちの判断次第なのです。」

この日のダイアログで、参加者の間に素晴らしいつながりのエネルギーが生まれ、誰もが人類の輝かしい未来のために、共創する決意を新たにしたのでした。

By: TFD Japan Team
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