神聖なる精神に向けた歩み
ダイアナ・バークハルター
富士宣言では、あらゆる生命の本質的な尊厳と私たち一人一人に宿る神聖を肯定しています。私たちがこの神聖なる精神を、広い分野にわたって認め続けていくならば、現代文明を変化させることが可能となるのでしょうか。
多くの人々が人間の神聖なる精神を認めるようになったとき、現代の世界はどのように変わっていくのでしょう。誰もが一人一人に宿る神聖なる精神を認め合い、互いの関係を深めることができれば、同僚や同級生、愛する人との日常的なふれ合い、敵と思っていた相手との関係、これらはどうなるのでしょう?
この難問を前にした私の最初の答えは、「想像さえできない」でした。神聖なる精神を認め合う世界の雛形などないのです。頭の中がさながら白紙の回答用紙であることに驚きながらも、その疑問に対する答えを想像する、これが最初のステップでした。
考えているうちに、かつて経験したある事を思い出しました。それは、参加者が一人一人の本質的な尊厳を、互いに称え合うセッションでした。神聖なるものという、それまで忘れていたものを、誰かが思い出させてくれるような衝撃を、その時感じたのです。それは、これまでにない力強い目覚めの瞬間でした。これが私にもたらしたものは、希望と神聖なる精神が自分の感覚として経験されることで起こる実際の変化でした。私たちが内在する神聖なるものを感覚的に経験すると、何かが変わるきっかけが生じ、一人一人を結び付けている糸のような、存在の本質をなすものを思い出すのです
思うに、私たちに内在する神聖なるものを感覚的に経験したいという希望は、人間を前へ突き動かす特殊なエネルギー、言い換えれば、人間同士が神聖なる精神を通じて関わり合う時に、後押しをしてくれる燃料なのかもしれません。
だが日々の実生活で、そのような関わり合いをどのように実行すればよいのでしょう。希望を燃料のようなものと考えれば、まず自分自身に、燃料を継続的に供給する方法がなければなりません。神聖なる精神とのつながりを再認識するには、瞑想や感謝の実践など様々な方法がありますが、いずれの方法でも、常に神聖とのつながりという理屈抜きの感覚的経験を通じてエネルギーを満たす必要があります。私が神聖という本質に触れていてこそ、私の行ないの影響はより有意義なものになります。
「有意義な影響」と言いますが、なぜこれが重要なのでしょう。神聖なるものを認めているかどうかを知る方法として、最も一般的なもののひとつは、「見ず知らずの人にも親切にする」という行ないでしょう。こうした親切を多少なりとも実践したことがあれば、それがどんなに人を明るくするか知っている筈です。親切を行なう者と親切にされる者だけでなく、傍観者までも元気づけられます。これこそ喜び以外の何物でもありません。こうした喜びは、「感謝送り」の輪を広げ、その影響を波及させていきます。
親切という行ないが社会の常識として、日常的に当たり前に実践されるようになったらどうでしょう。すでにそうした姿勢を促進しようという活動は多く見られます。「見て見ぬふりをしない」や「カインドネス・カウント」といったプログラムを取入れている学校、「フリー・ハグ」で知られる社会運動、「心の耳を傾ける」「思いやりのコミュニケーション」といったスキルの習得を推進する様々な組織等々がそうです。こうした動きは、真の愛に対する目覚めが文化として拡がり、それが様々に異なる形に現れたものです。どれも、愛の本質とのつながりを深化させながら、私たちが成長し続けるための実践方法です。
加えて、私たちの言う愛の本質は神聖なる精神の一部でしかありません。神聖なる精神は人それぞれに異なる形で顕現し、人は自分の現しかたで世界に貢献していきます。この多様性が人間の生活に豊かな多面性をもたらし、それと同時に、神聖なる精神の数々の側面をダイナミックに現わしていくのです。
しかし神聖なる精神がいろいろな形に顕現し、これを個人が自分の経験や見方の中でまとめようと奮闘する中で、数々の衝突も生じています。私たちが自らの光を顕現しながら、あらゆる人のものの見方を尊重していくには、どうすればよいのでしょうか。これは人間の尊厳が問いかける疑問であり、尊厳ゆえに生ずる課題です。あなたは大切な存在であり、私も大切な存在です。他の人々も、それが誰であるかに関わらず大切です。すべてが生きている存在です。私たちは互いにつながり、同時に「あらゆるものすべて」という存在の根源につながっています。
「あらゆるものすべて」といいましたが、これはすべてのものとの接点です。私の中で思いやりが息づく場です。私はあなたの苦しみを知り、あなたの苦しみは私たち全体の苦しみであるからです。そこは希望の場です。そこでは神秘と奇跡に満ちた神聖なる精神とつながり、常に明るく照らされます。また、あなたと私が同じであり、神聖なる存在である場です。尊厳が息づく場、私たち全員が、ただ生きて存在しているだけで価値あることが、絶対的な真実として認識できる場です。こうした人類の本質と神聖なる精神の本質に触れることができる場とつながって初めて、私たちの行ないは有意義な影響を与えることができるのです。
この「あらゆるものすべて」という場につながる道とは、どのようなものなのでしょう。私はスペインの詩人アントニオ・マチャード(Antonio Machado)の言葉を思い出します。それは、「旅人よ、道はない。歩くことで道は出来る」というものです。私たちはすでに歩を進めてはいるものの、どこに向かっているのでしょう。「神聖なる精神に目を向けることで、私たちの文明はどう変わって行くか」という問いは、来るべき文明を想像させ、私たちを神聖なるものに向かわせます。これこそが最初のステップです。この問いはシンプルですが非常に優れていて、新しいものの受け場を簡単に作り出します。課題に取り組むときに、問いかけが基本的な手段であるというのは、このためです。私たちの中にある何かが、問いかけを受けると答えを出そうとします。私たち探求心に火をつける。ここから想像が始まります。
私は、より良い人生を生きるためのライフ・コーチングをしていますが、その分野で私たちは他に類を見ない独自のポジションにあります。想像力を駆使して、心の中の課題に取り組んでいますが、多くの人々が、自分の中に何かを探して集ってきます。この探求は、参加者が、様々な段階に分かれた各探求の中で、意義と目的、世界貢献に向けた自分なりの方法を求め、自らに宿る神聖なる精神の存在を知っていきます。ほとんどの参加者の心の中には、すでに存在する神聖なるものに、彼らが気づくのを阻んでいる障壁があります。この探究で求められるのは、彼らからこの障壁を取り除くことです。そうやって人々と共に心の中を旅し、解き放たれたる状態にある何か、今となってはもはや真実とはいえない古い考え方や、抑圧されていた感情を見つけます。
だが、この「これから起こる事に準備が出来ている状態」にあるかどうかを見きわめるには、慎重さが必要です。何かを起こそうと強いるのではなく、神聖なるタイミングを信じ、物事が自然に開花するようにしていきます。そうすればクライアントに最適のタイミングで、個々の神聖なる精神が現れ出てきます。この見きわめはやり方次第で、クライアントの選択を全面的に尊重するのと同じくらいやさしくもなり、私が本当は別の見方をしていながらクライアントの選択を尊重するのと同じくらい、複雑にもなります。
私たちが互いに働きかけることで、心の中の神性を経験できる実践方法がもう一つあります。それは、単純に相手を神と見なし、相手も同じ見方に歩み寄るよう働きかけることです。例えば、ある葬儀を司宰するよう初めて依頼された時のことですが、私には「出来ないのではなかろうか」というひそかな恐れがありました。だが私はその依頼をやり遂げました。この経験を通じて私は成長することができ、その後、葬儀や婚儀、その他様々な儀式を司宰するたびに、私自身の神聖のその部分は成長を続けています。ある人は、私の中の何かがそのやり方を知っているのだから、それに目を向けるようにしたらよいと、言ってくる人もいます。今、私は更なる神聖に向って歩んでいます。
最後に、私が、聖なる精神に向けた歩みの中で、見出した手段とチェック項目を紹介します。
*心の中の働き:ロウソクに火が灯っていなければ、もう一本のロウソクを灯すことはできない。私たちはその光を灯し続けることができるか。
*神聖なるもの:人間の本質の神聖なることを信じて、その顕現を望んでいるか。他の人々に働きかけて、彼らの神性を最大限に顕現させることができるか。彼らが内なる神聖に近づくことを恐れているとき、「あなたには出来る、必ずだ!」と即座に言うことができるか。
*尊重:自分と他人の間で、選択や見方が大きく異なる場合であっても、互いに「協力してくれて有難う」と心から言うことができるか。
*思いやり:人間であるとはどういうことかを、共に経験しようとしているか。他人が苦しんでいる時、自分たちもそうであった時を思い出すことができるか。「神の恩寵がなければ、私もそのようになっていた」と思うことができるか。
*希望:神聖なるものの影響を、直接的に感覚的に経験しているか。私たちは大丈夫であり、常に神聖なる精神と共にあることを、奥では信じていることを思い出すことができるか。
*想像力:多くの人々に働きかけて、彼らと神聖なる精神と共に歩む世界を想像することができるか。それ以外の方法について、想像することができるか。
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