茶道に見る女性性と男性性のバランス

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ソウルオブウィメンの派生イベント、リビング・イン・バランスでの茶道のワークショップを任されることになり、当日に向けて、茶道初心者でありながら、ソウルオブウィメンの観点で研究して得た知識を整理して、今後皆様の何かのヒントになればと願って書かせていただきます。

13世紀に禅宗の影響で日本に伝わった茶道は、やがて戦国時代の15世紀に豪商と武将によって完成されて行きます。もてなしの文化の洗練は、五感に訴える総合芸術に発展しました。すなわち嗅覚に訴えるお香のさりげない香り、立ち居振る舞いやお茶を立てる所作の音やリズム、水の音、掛け軸や花、待合の庭、茶器、茶道具、茶室、お茶やお菓子、言葉少ない会話を通じて、互いの心をしみじみと知るやりとりなどです。またお茶の稽古を通じて心を磨く修行は、道の字に現れます。

戦国時代の大名が何故茶の湯の文化を愛好したかについては、一説に国内平定で、分け与える領土がなくなったから領土の代わりに金銭的に価値が高いもの、所有していることが名誉であり、社会的に高いステータス(地位)を、示す物を与えるようになったとも言われています。一方で常に命懸けで下克上の世界に生きていた彼らは、本質的に心の安らぎを求めて、非日常の世界を求めていたと言えます。

禅の精神性、美学に裏打ちされ、千利休に集大成された茶室の文化は、二畳の小さい空間に、刀を差したままでは入れない、にじり口という小さい入口を設けて、入室前に刀を預けて入るようにし、日常を離れて主客対等の非日常の空間を作り上げました。階級的な社会の息苦しさからひととき逃れるというニーズもあったことでしょう。

ここで戦いの原理を男性性に置き換えれば、平和の原理は女性性に置き換えることが出来ます。また戦いという選択にも、女性や家族を守るという役割もありました。これは愛の裏返しでもあります。男性の中にある女性性に裏打ちされています。

他方、主客の関係は、能動的、受動的という意味において、男性性、女性性にそれぞれ類推することが出来ます。茶道における主客の阿吽の呼吸は、男性性と女性性のハーモニーそのものであり、そのバランスはこのような形で現れます。

また美を感じる感性というものは、女性性に原点があり、昇華した形で男性性にも現れるように思います。服飾、音楽会、演劇なども多くの女性が支えることにより、発展している文化であり、男性でも芸術的なセンスに溢れた人物には、女性性に優れた人が多いことも伺えます。美輪明宏さんが書かれた本に、戦争の対極のお洒落や文化を盛り上げてて、平和を守り育てるというお考えを読んだことを思い出しました。

当日は、「恵日破諸闇」という東大寺の管長の書で、観音様(女性の神様)の光明が暗い世界を明るく照らす、という意味のお軸を掛け、女性性がもっと現れて世界にバランスがもたらされるというソウルオブウィメンの一つの考え方を表現しました。

By: The Fuji Declaration
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