富士宣言発足記念特別行事 シンフォニー オブ ピース プレヤーズ 2015
:富士宣言事務局
2015年5月17日、富士宣言発足記念特別行事が富士山麓で行われた。舞台となったのは富士聖地(白光真宏会)の野外会場。ここでは毎年5月に多様性を尊ぶ平和の式典「シンフォニー オブ ピース プレヤーズ」が行われてきたが、今年の行事は、富士宣言発足記念特別行事として開催された。
会場は世界中から富士宣言発足を祝うために駆けつけた会員、来賓、賛同者であふれ、富士宣言の代表発起人の西園寺昌美、西園寺裕夫、アーヴィン・ラズロの三氏と多数の創設署名人が見守る中、「神聖なる精神」と多様性を尊ぶワンネスの生き方を世界に呼び覚す第一歩が刻まれた。この式典は、世界にインターネット中継された。
富士宣言発足記念特別行事ハイライト
開会を彩る音楽
午前10時、発足記念特別行事は1万人を越える参加者、百人の祈りのリーダー、著名な来賓方を迎え開会した。スロバキア伝統楽器の演奏、ケンジ・ウィリアムス氏とクリスティン・ホフマン氏による音楽が開会を彩る。
富士宣言の紹介
富士宣言の共同発起人の3氏が登壇し、挨拶と富士宣言の紹介を行った。最初に西園寺昌美氏は「人類のゴールは、自己の真実である神聖なる精神を再び見出し取り戻すことにあり、かつ、自らの魂の探究に向けての努力こそ真の人生であり目的である」と富士宣言の根底をなす思想を語った。
ついで西園寺裕夫氏が富士宣言の目的について「一つは、人間はすべて神聖にして善なるものであるという価値観と、大きなつながりの中に生きているという価値観を一人一人の心の中に復活をさせてゆくこと。二つ目は、そういう意識をもって生きる個人を増やすと同時に、混迷した現代社会を調和した社会に転換してための調査研究の推進を促すことである」と富士宣言の目的を語った。
最後にアーヴィン・ラズロ博士が「アインシュタインの言った言葉に『問題を創ったのと同じ考え方でその問題を解決することは出来ない』とあるが、今まさに新しい思考が問われている。富士宣言こそが、その答えである。人はもって生まれた神聖なるもの善なるものを、再び取り返す必要がある。そして精神的な復興が必要である。富士宣言は科学の面、精神の面、合理的思考の面で、深い所から我々に神聖なる精神を取り戻させてくれる。それに関わることが出来て嬉しく思う」と、人類が精神的な復興をすべき時に来ていることを語り、その時機を得て富士宣言が誕生した意義を説明した。
いずれも、これから世界が変わる予感に満ちた、私たち一人一人の世界へのコミットメントとも言える挨拶であった。
世界平和祈念 御献茶の儀
富士宣言の紹介の後は、六十年余にわたって「一碗からピースフルネスを」の理念とともに、世界にむけて茶道文化と世界平和の実現に向けた活動を展開してきた、第15代裏千家家元の千玄室大宗匠による御献茶の儀である。会場の一万余の人々は、大宗匠の美しく厳かな所作に、息をのんで見入るばかりであった。富士宣言のエンブレムの前に一碗が捧げられ、御献茶という形を通した平和への祈りが会場を包んだ。すべてが終わると、万感込められた拍手が会場から湧き上がった。
世界の各宗教宗派の祈り
続いて宗教者10名が登壇し、静謐の会場に向かって各宗教の平和への祈りを各々リーダーが唱え、宗教宗派の違いを超えた調和の雰囲気の中、会場も唱和した。
「世界各国語の世界各国の平和の祈り」と「地球生命への感謝の祈り」
続くプログラムは、世界193ヶ国とその他の地域を表す地球の旗を掲げ、世界各国の平和を祈るフラッグセレモニーである。作曲家の山本健一氏がこの日のために作った曲にのって、全ての国旗が会場内六本の通路後方から舞台に向かって入場すると、舞台上でフラッグセレモニーがスタート。それぞれの国の言語で「○○国が平和でありますように」と順番に祈られてゆく。舞台ではためく国旗は、自国ために捧げられた祈りをしっかりと聞き届けた後、滑らかに翻り、舞台を後にする。その祈りに耳を傾けていると、国々の言語のリズムが協和的に響き合い、ワンネスの一体感に包まれてゆく。
そして地球生命への感謝の祈り。ボーダレスな海、大地、山、空気……さまざまな自然現象へと自分たちの感謝の言葉が行き渡ってゆく感覚が広がる。それは、これだけたくさんの自然に、今、生かされて自分たちがここに存在していることを実感できる、貴重な瞬間であった。
富士宣言発足式
いよいよ富士宣言発足式。3名の共同発起人につづいて、5月15日におこなわれた東京シンポジウムの参加者をはじめとする活動家、科学者、芸術家など29名が登壇、西園寺裕夫氏が一人一人を紹介した。
いよいよ、富士聖地に集まった人々が富士宣言の「一人一人の宣言」を読み上げ、インターネット中継にアクセス中の世界中の人々に、新しい文明への必要性を促し、共に新世界の扉を開こうとする瞬間である。
最初に西園寺昌美氏が日本語の宣言を先導。ブックレットを手にし、富士宣言のページを開きかけた参加者に対して西園寺氏は、「ページを開いていただきましたが、一度閉じて、私の言葉を聞いてください」と語り、目を閉じて耳を澄ます参加者の心の奥深くに届くように、ゆっくりと宣言文を朗読。
続いて5名の賛同者が順番に歩み出て、英語で「一人一人の宣言」を一項目ずつ読み上げ、続いて会場が日本語で続けて唱和した。意識を込めて一人一人が声高らかに唱える宣言は力強く会場に響きわたった。
聖なる音のハーモニー
次は、富士宣言によって開かれたディバイン・スパークの扉から、未来の真善美の世界が流れ込んできたかのようなプログラムであった。音楽プロデューサーでもあるケンジ・ウィリアムス氏とクリスティン・ホフマン氏が再び舞台に登場、多重奏の調べをナビゲート。
笙とバイオリンの典雅な調べで幕を開けると、袴姿に扇を携えた白光真宏会メンバーによる美しく厳かな印の披露。イスラム教スーフィズムのフマユン A. ムガール氏によるアザーン(礼拝への呼びかけ)。日本修験道の4氏による法螺貝演奏。天理大学雅楽部の3氏による雅楽。そしてホフマン氏の歌う、「メイ・ピース・プリヴェイル・オン・アース」や無限なる言葉で歌詞を綴った美しい曲で、閉会のプログラムへと移った。
閉会挨拶
閉会を前に挨拶に立った、白光真宏会会長代理の西園寺由佳氏は、以下のように述べた。
「戦後の時代から今日まで、多くの会員の方々は世界の平和を祈りつづけてきた。その行為がたとえ賞賛されなくとも、賞賛どころか他に理解してもらえなくとも、私たちはひたすら祈りつづけた。何故ならそれが私たちの真実であるから。私たちの天命であり生き甲斐であるから。私たちの軸であり喜びであり、すべてであるから。
しかし私たちの祈りとは反対に、この数十年、地上は平和とかけ離れた方向にどんどんと進み、私たちがいくら祈っても、世界では対立が増えつづけ、人類の神聖なる閃きを信じても、地球の問題や人々の苦しみは増えてゆくばかりであった。
まるで小さな一滴の水が広大な海に落ちるがごとく、その祈りは地上に存在する多くの不安や恐怖に呑み込まれ、いとも簡単に吸収されてしまうかのようであった。もっともっと祈り心を、もっともっと愛と感謝のひびきを、もっともっと神聖なる姿を。人類がまだ他の人の幸せを願い、他国の平和を祈れないのであれば、祈れるようになる日まで、人類に代わって私たちが祈りつづけようと。人類が自らの中にある他の人々の中にある、神聖なる閃きを見ることが出来ないのであるなら、人類に代わってその真実を見つづけようと。どんなに困難に思えても、どんなに不可能に見えても、それを選択し実践しつづけたのが、ここにおられる皆様であった。
しかし、私たちそれぞれはもう一滴の水滴ではなくなる。富士宣言が発足され、聖なる精神が世界中に発信されることになったのだから。これからは一滴の小さな水滴は、他の多くの水滴とつながり、水たまりとなり、潮流となってゆく。世界中の多くの祈れる仲間、同じ意識を持つ家族と出会い、つながる時がやってきた。
今日のiんOPPでは、そのつながりを現わすように、宗教を超えて、国を超えて、世代を超えて、分野を超えて、神聖なる精神を信じる人々がお集まりになった。聖なるひびきが祈りとなって、音楽となって、印となって、一碗を通して、友情となって、可能性となって、現実となって、ここから響きはじめた。その新しい幕開けを創ったのは、ほかならぬ皆様なのである」。
フィナーレ合唱―「みんな輝く ディバイン・スパーク」
最後のプログラムは、この平和のシンフォニーの最終楽章にふさわしい「みんな輝く ディバイン・スパーク」(西園寺昌美作詞、渡辺俊幸作曲)を、リードボーカルはソプラノ歌手の前川朋子氏、コーラスは地元の小学校の児童で、全員で歌った。時間が終わるのを惜しむかのように合唱は繰り返され、最後は大きな拍手で締めくくられた。
みんなで超えよう すべての違いを
みんなでつくろう 明るい未来を
全てがワンネス すべてがひとつ
みんな輝く ディバイン・スパーク
以上をもって、「富士宣言発足特別行事」は全てのプログラムを終了した。
この日を中心に、世界各地で多くの人々が心を一つに世界の平和を祈った。46を超える国々で行われたSOPPでは、「富士宣言」の発足を祝うプログラムが、いろいろな趣向で行なわれた。
*SOPPが行われた国々
【北中南米】
アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、グアテマラ、メキシコ、スリナム、アメリカ、ウルグアイ
【アジア・オセアニア】
オーストラリア、バングラデシュ、インド、インドネシア、日本、モンゴル、ニュージーランド、パキスタン、フィリピン
【アフリカ】
コンゴ民主共和国、エジプト、ガーナ、南アフリカ、タンザニア
【ヨーロッパ】
ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イスラエル、イタリア、リトアニア、マセドニア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ロシア、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス
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