イノベーション・トラウマ・悲しみの経験から学んだリーダーシップ

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これは、エリアーヌ氏が母国ウガンダで自ら経験したトラウマと悲しみを通して得た、真のリーダーシップへの洞察です。以下は、ニューヨーク・タイムス電子版の『教育・主要な考え』に掲載された寄稿文の抜粋ですが、2015年5月に行われた富士宣言発足記念行事での体験を語っています。富士宣言の名誉署名人でもある彼女は、マクギル大学教授、C.L.E.A.R国際開発代表。
寄稿文の全文はこちら(英文)

Eliane Ubalijoro-tokyo

ルワンダ虐殺から21年、私は日本の富士山麓で、一万人の人々と共に世界のすべての国々に対して「○○国が平和でありますように」と、各国の言語で祈っていました。
この行事は西園寺昌美氏のグループが富士宣言の発足を記念して主催し、持続可能で思いやりあふれる精神文明に向かう道に、皆で意識して光をかざした出発点でありました。
五井平和財団の会長である西園寺昌美氏は師であった五井昌久氏から引継いだ仕事を今も続けています。五井氏は、広島の原爆投下を目の当たりにし、人類の為に祈ることに人生を捧げ、「世界人類が平和でありますように」の祈りを提唱した人物です。

この行事の二日前に、世界各地から集まった異分野の専門家達による小さな会議が、東京の国連大学で開催されました。
この会議で一番感心したのは、高度に設計された会議のプログラムと、ブロック化した空間ごとに各セッションが進められたことでした。異なる分野の人々が共通の目的で集まった時に生じる先行きの不透明さと豊かな知的土壌を前にして、このような入念な準備により最大の智慧を引き出すことが可能になったのです。

分科会では終日、参加を決めた理由、自分に変革をもたらした出来事、富士宣言の意図を伝えていくためのビジョンやアクションについてのアイディアが共有されました。このセッションを通して、参加者の「私たちが何者で、お互いの結びつきはどうなっていて、地球や宇宙とどのような関係にあるのか」についての認識が改めて強化されました。

人間は生まれに関係なく、誰でも痛みや喪失という経験を経て、未来や世界に通じる夢とつながり、一定の価値観を持つに至ります。
富士山の麓で世界各国の平和を祈った時には、小高い野外ステージの袖から各国の旗手が登場し、国名が一国ずつ読み上げられる度に、その国の公用語で平和が祈られました。そうした中で私の脳裏には、それまでの人生の様々な場面が次々と去来しました。

1994年にルワンダのニュースを見ながら、無力感に打ちひしがれていた自分、その10年後に両親を失くした自分、以前とは別の仕事に歩みだした自分、母親となった自分等々。躓きながら前進していくさまざまな自分を思い出していました。そして、富士山麓で共に人類の為に祈る10,000人の人々、世界各地でサイバースペースを通して同時に祈る7,000人の一人一人と、深くつながっている自分を感じていました。
この行事で私は、人々が世界の各地で集い、自分や人類のために祈り続けるのは、そこに人々との一体性を意識できるチャンスがあるからだと実感できたのです。

By: Éliane Ubalijoro
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